断・胃食道亭日乗。旧「宇宙日記。宇宙にはぜんぶある。」

(消防署のほうから来ました。) 食道胃接合部癌→術後肝転移(Stage IV)のヲッさんの暮らし。

抗癌剤投与2回目の記録

昨夜から声が少し出しにくい感じと、痰の絡みが少しある。咳も発熱も無いのでコロナでは無いと思う。

むしろ放射線と抗癌剤の影響だと思う。放射線を当てている場所が食道と胃のジョイント部分というだけに、唾液腺だとか声帯だとか気管支なども影響を受けてもおかしくない。と思いたい。それ以外は倦怠感などは無く体調も良いし様子見。週末を除いて医者には毎日行ってるので、いざとなればすぐ検査して貰えるだろう。

今朝はいつものように最初に放射線。23回のうち6回目。1/4来たか。

放射線の部屋は相変わらずUFOの中のようだ。銀色の衣装のピンクレディが出てきて歌いだしたら一緒に歌うね。

銀色のピンクレディじゃなくて、普通の出で立ちで現れた今回の助手の黒人の女性は、私の生年月日を確認すると、「Oh, ワォ、私の父親と同じ月日だわ〜、」と言う。

フレンドリーなメリケンの軽口だ。

私もメリケン歴20年+選手であるところ、「そうかい、あなたの父ちゃんはグッド・ガイに違いないネ?」と返す。「Yeah、もちろんよー!」ハイタッチ (しない。)

…キまった。ビシッと決まった。ますますメリケンの映画のようだ。そろそろETみたいなのがこの病院に不時着してくるか、ウーピ・なんとかバーグが、キャデラックのアクセルとブレーキを踏み間違えて突っ込んでくるにに違いない。

メリケンな気分で抗癌剤病棟に移動すると、ETやゴールドバーグは出てこず、ふつうに受付の女性が待ち受けていた。

そこで付き添いに来ていた家人の入室が断られる。新型コロナ以降の世界だ。

家人はスマホを持たないし、プリペイドのガラケーは持っているけど、自分が使いたい時しか電源を入れない人なので、こちらから連絡を取る術がない。病室と待合室室とでは15歩くらいなのだが、まぁ特に用事は無いし、私が死にかけたら看護師か誰かが呼んでくれるだろうということで、待合室で待つということになった。

 

抗癌剤パートが始まる。 

昨日処方されたステロイドは飲んだか?などと訊かれたあと、容赦無く血管に針が刺される。

 

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朝の9時過ぎだから、順調に毒薬2種類の抗癌剤が点滴されれば、昼過ぎには帰れるかもしれない。

9:10 今日も最初に抗ヒスタミン剤(Diphenhydramine)と、吐き気止め(Famotidine)を点滴される。昨夜きっちり寝てるのに、眠くなる。

10:10 パクリタクセルの点滴が始まる。

初回の投与で、わりときつめのリアクションを起こしたやつだ。

dv6.hatenablog.com

最初は50ml/hのペースで注入が始まる。速度は遅めだという。モニターにはカタツムリの絵点滅している。「ゆっくり」ということか…と思ってよくみたら、バッテリーとコードの絵だった。

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パクリタクセルは、最初の15分くらいでリアクション症状が出なければ大丈夫だろう…と祈るような気持ちで過ごす。

15分経過。大丈夫っぽい。いいぞ。(井の頭五郎 ・風。)

10:25 大丈夫そうなので、看護師が点滴のペースを75mg/hに上げる。

凄いなステロイドという薬は。前回のリアクションを完全に抑え込んでしまった。無症状。

もし自分が死刑にされることがあれば、薬物を静注してもらいたい。痛みも苦しみも皆無だと思う。間違いない。アメリカでは薬物静注が主流であるけれどまだ電気椅子や絞首刑や銃殺やガス室が合法である州もあるから油断がならない。何の油断なのか知らんけど。

 

隣のブースに人が来た。

ヒスパニックらしく、スペイン語で喋っている。この人には通訳が着いて入室が許可されたのか。セニョールと呼びかけているので、家族ではなくてメディカルサーヴィスの人に違いない。と思ったらスペイン語を話す病院のスタッフだった。やー私も英語を喋るの面倒だから通訳をつけてくれと思ったが、それは多分ダメだろう。

10:40 点滴の速度が175mg/hに上がる。

10:45 300mg/h にスピードアップ。パクリタクセルの残り時間が53分と表示される。

隣のブースのヒスパニックのヲッさんがゲホゲホを咳をしだした。点滴中だし逃げられない。もうアカン伝染ったかもしれない。

11:50 パクリタクセル終了。

続いてカルボプラチン

これは前回リアクションが無くて安心なやつ。最初から400ml/h というスピードで注入される。40分くらいで終わるペースだ。昼過ぎには帰れそう。仕事は半休で午後から出られたなと思ったけど、今日は大事をとって、家でゆっくりしてたほうがいいだろう。白血球の数も下がってるし。副作用は後から来るかもしれないしだ。

腹が減ってきた。チャーハンみたいなのが食いたいと思った。

 

12:30 カルボプラチン終了。

帰宅していいと言われる。

ポケットに入れてたパーキングのチケットを無くしてしまい、無料のところ$5支払うのを覚悟して、精算機で中の人にわけを話したら、あっさり無料開放。何でも言ってみるもんだなと思った。$5はカンガルー募金に寄付させていただきます(嘘。けどホームレスのひとに会ったらあげます。)

13時前帰宅。

もしかして夕方までかかるかなと、オニギリを握ってきたけれど、帰宅して食べた。