断・胃食道亭日乗。旧「宇宙日記。宇宙にはぜんぶある。」

(消防署のほうから来ました。) 食道胃接合部癌→術後肝転移(Stage IV)のヲッさんの暮らし。

生前遺言状と遺産相続 

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いや。まだ死ぬとは思っていない。けれども just in case 念のため、遺言状と遺産相続について考える。私は貰うほうじゃないけど。たぶん。知らんけど。

アメリカの遺産相続の法律をざっくり調べる。州によって違いがあるものの、配偶者がいる場合は「財産は配偶者と共同で築いたもの」という考えが根底にあり、婚姻関係にあるカップルの場合、どちらかが死んだら生き残ったほうに相続される。

アメリカでは離婚した場合にはその際に、婚姻期間に応じて、相応の財産分与が生じるのもそのためだ。

日本との大きな違いは、配偶者がいれば、日本のように子供や兄弟などへの「遺留分」の配分が基本的に無く、配偶者へぜんぶ行くという点。竹下景子にぜんぶだ。みたいな切れ味の鋭さである。違うけど。

ちなみに両方生きてて離婚する時にも…配偶者が専業主婦であろうと多額の収入があろうと…この「財産は共同で築いたもの」という考え方の下、相当額の財産分与がなされるのは、アメリカの有名俳優さんなんかが時々ニュースになったりして、認識される。だから結婚前に「契約書」様のものを書くのも珍しくない。結婚前に築いた財産はこんだけやで、分与の対象外やで、みたいな。

相続税の基礎控除額もアメリカでは1,140万ドル(約12億円)と、ウチでは背伸びしてもモーマンタイな金額。お金持ちがお金持ちで居続ける国だ。

これは相続が発生した時にアメリカに住んでいる場合で、日本に住んでいる日本人だと、日本の税法が適用されるので、基礎控除額は3,000万円と、グッとしみったれてくる。私は米国籍だけれど、家人は日本国籍なので、私が死んだ時には日本に居る可能性もあるかもだ。うんまーでも日本円で3,000万円ほどの財産は無いな。心配要らない。

ただし、アメリカの場合、遺言状がないと、日本のようにスンナリとは遺族に相続が行かず、いったん裁判所の預かりとなって資産が凍結され、相続権利者が書類を揃えて裁判所にクレームする、といった面倒な手続きとなる。

これを回避するために、Living Trust (生前信託)や、Living Will(生前遺言状)を書き記して、資産の行き先を決めておくというわけだ。

ははぁ、よくアメリカの俳優さんなんかに限らず一般のカップルでも、結婚前に「契約書」なんかを細かく書くのも、こういうややこしい手続きを回避する目的があるように思う。結婚や離婚を何度もして、遺言書も無いとなれば、えらいややこしい話になるのは想像に難くない。

けど思うに、ウチの場合は、ボロいコンドは共同名義だし、わたくし個人の「財産」と言えるものは、少しの銀行預貯金と、ほぼ無価値と思われる7年オチの中古車、そして個人年金口座(Individual Retirement Account)で、グーグー眠っている現金と株と投資信託だけだ。この個人年金口座も、たしか結婚した時に配偶者を相続人として指定した記憶があるので、モーマンタイ無問題。だと思う。借金もない。いいぞ。

それから日本の年金に当たるSocial Securityも、わたくしの死後は、家人がSuvivor's benefitとして死ぬまでナンボか貰えるらしい。この辺は日本の遺族年金よりも手厚いようで、やはり「財産は夫婦共同で築いたもの」という考え方が根底にあると思う。

 

www.ssa.gov

いやいま死ぬつもりはない。あと20年くらいはのらりくらりと生きて、少しでも人様に恩返しをしなければならない。のだけれど、死ぬかもしれないと考えていろいろ調べて考えてしまうのも悪くない。腹を決めるとあんがいスッキリするものだし。

しかしやっぱり死んでいくひとは、ハイそれまでヨ、でお終いだけど、残された人間はたくさんの手続き残務処理とともに生きていかなければならず大変だと思う。借金も財産も残さなかった親父が亡くなったあとでさえ、役所だ保険会社だの銀行だの、とずいぶん母親に付き合った。

おまえ100まで、わしゃ99まで。共に白髪が生えるまで。なんて歌があるけれど、まぁ分かる。白髪は40代からとっくに生えてるけど。

やー今日は勉強になった。