断・胃食道亭日乗。旧「宇宙日記。宇宙にはぜんぶある。」

(消防署のほうから来ました。) 食道胃接合部癌→術後肝転移(Stage IV)のヲッさんの暮らし。

術後6日目

今日の看護師はハズレだ。不注意が過ぎる。新しい薬を忘るし、吸入器は1時間も付けっぱなしで帰ってこない。歩きにいくのに介助がいるから、時間が出来たら来てくれと頼んでいるのに3時間も来ない。他に優先案件があったにせよ、代わりに引き継ぐくらい出来るはずだ。まぁ私も注意度の低い患者だし、いざとなればある程度は自分で動けるからいいけれど。看護師さん、あなたはこの仕事は向いてないひとだと思うよ。って独り立ちする前に誰か言ってあげないといけない。知らんけど。うわっ、とどめに注射液を溢して行った。おかしいぞこの看護師は。

きょうは月曜日。

今週、検査やテストなどを経て、問題がなければ来週の月曜日の退院もあり得ると聞いているので、最短であと1週間かと思うと嬉しい。退院したからと言って、1ヶ月近くは自宅療養で、食事の量も制限も大きいだろうし、もとの暮らしに戻るには時間がかかるにせよだ。とりあえず介助を得ずにトイレに行けるのと食べられるようになるのであれば、あとはゆっくりやれば良い。しかし人が1人で自立して暮らすというのは、つくづく大変なことだ。介助が要るとなるとこれに人材が割かれるから、言わずもがな大変なことだ。

妙なタイミングで日本の弟からメールがあり、お金持ちで悠々自適な伯母だけれど少し認知症ではないかという話し。さぁ大変。彼女は看護師でずっと働いて、家も建てたけれど生涯独身。だだっ広い家に独りで住んでいる。まぁたぶんお金があるのだろうから介護付き有料老人ホームみたいなところに入居するのだろうと思っていたのだが、どうも誰かに面倒を見てもらいたいようなのだ。自分も含めて甥や姪やその子供は6人居るが、それぞれに暮らしがあるわけで、伯母の面倒まで見ようというものは居ない。配偶者や子供が居なければ、遺産があるとすれば相続は兄弟姉妹だ。さてどうなることやら相続や介護問題でよくありそうな話しだな。

トイレに行くのと、運動がてら病棟をくるっと歩いてくるの以外は、ベッドかソファーに寝るか座っているかの日々だ。開腹手術をして癒えるのを待っているのだからまぁ当然だけれど。

両脇腹の切開の傷は、定期的に処方されている痛み止めのおかげで、安静にしているぶんにはほとんど痛まない。けれど咳やくしゃみ、何かものを取ろうとして体を伸ばすと声が出るほど痛む。この安静時のポジショニング問題というのが悩ましい。ベッドの角度を調整して、枕を脇に抱えたり、身体に着いているドレインが引っ張られたりしないように体を横たえ、かつ傷口が痛まないように身体を傾ける。出来た。わりと快適。と安静にするや否や、看護師が検温や採血に来たり、傷のパッドの交換だとか、レントゲンを撮るから起き上がれとか医者が検診に来たりもする。ポジショニングがやり直しになる。これがわりと疲れる。完全看護とはいえ、私のようにICUでも無い重症患者扱いではなくなると、看護師も呼ばないと来ない。孤独なポジショニングとの戦いとなるのである。このエントリを読んでいるあなたが、もし誰かを看護することがあったら、どうか患者の気の済むまで、ポジショニングを手伝ってあげて欲しい。何度でも。えらい感謝されること請け合いである。

しかしさすが評判の病院だ。ちょっと胸が痛いと言うと、手術に関わったチームの医者が来る。その胸の痛みの原因を推測説明してくれて対処を看護師に指示する。この流れが早い。まーICUに居ないとはいえ、腹と背中を切る大きな浸潤を受ける手術をした患者なわけだから、医者が気に留めるのも当たり前だろうけれど。患者の不満や言い分を聞く→原因や対処を説明する→処方や手当てをする→効果を確認に来て追加の手当てが必要か確認する。の流れが早くて確実なのである。きょうのように、間にハズレの看護師が入るとこのチェーンが機能しなくなる。評判が良く、きちんと機能している施設は病院に限らずこれの管理がよく出来ている。なんかビジネス書みたいな話になってしまったな。

今日から一部の例外の除いて、全て胃瘻からの水分栄養注入。痛み止めも胃瘻から。あいや脇の下に打たれるえらく痛い注射は血栓防止良いのやつで、脇の下じゃないとダメなんだそうだ。あれは痛い。

直接胃に水分や流動食(実際はプロテインドリンクのようなもの)薬を入れられてもあまり「入ってきた」という感覚が無い。少量ずつだからかも知れない。それでも身体は機能しており、少量ながらもトイレに行く。あとは口から食べられるようになるのに、切除接合した食道の下部と胃の上部が漏れなく繋がっているのを確かめるテストを待つだけだ。これは明後日、術後ちょうど1週間の水曜日に予定されている。上手くいくと良いなぁ。