17年蝉 --- Cicada
今日散歩してたら、ついに見かけた17年ゼミ。
17年ぶりか。
前回は2004年で、隣の州に住んでいたけれど、わさわさ出た。車を運転しているとばちばち当たってくるし、窓を開けていれば数匹は容赦なく入ってくるような状態だった。まさに大量発生。サバクトビバッタ程ではないにしろ、これには驚いた。苦手な人は堪らないだろう。
けれどこの蝉はミャンミャン鳴くでもなく、動きもトロくて、捕まえよう思えばすぐ掴める大人しい蝉なのだ。赤い目が可愛らしい。
彼らは17年に一度しか出てこないので、17年に一度しか世代交代しない。ということは環境に適応する進化も格段に遅いと思うのだけれど、よくぞまた出てきて繁栄しているものだと思う。
極私的には、自然、17年前と、17年後のことを考える。
17年前は2004年。35歳だった。
渡米5年目。ベーカリー兼ケーキ屋で週に6日、1日12時間働いていた。キツい肉体労働だったけれど、粉や砂糖ががケーキになり、 バターと粉がパイ生地になり、人々がニコニコしながらケーキの箱を抱えて帰っていくのを見る仕事は、やり甲斐はあった。
秋にアイルランドに旅行に出たような気がする。アメリカの東海岸からは飛行機で6、7時間の距離だ。
美しい、そして人々が優しい国だった。旅行中一度も嫌な思いをしなかった。レンタカーでぐるりと島を回って、イニシュモア島にも行った。
何処も食べ物はそこそこだったけれど。1日一度は雨が降って虹が出る土地で、ギネスビールばかり飲んでた気がする。
美しい国だった。
17年後は2038年。
生きていれば69歳になる計算だけれど、ステージIVの転移癌患者が、あと17年も生きている気がしない。奇跡でも起きない限りは。
けれど近代医学は驚くほどのスピードで進歩しているので、ひょっとするとひょっとするのかも知れない。その時はその時だ。ボケて手の付けられない老人になってるかも知れないし。
若い頃から働いて、まじめに納めてきた日本の年金とアメリカのソーシャルセキュリティくらい受け取りたいものだなと思う。まーこれは自分が死んでも家人が受け取れるから別にいいかな。
などとつらつら考えてしまう17年蝉の出現だ。