お盆なのでお墓の話
お盆なのでお墓の話。
お盆の時期には休まないし日本には行くことがないので、日本の「お盆」はもう20年以上も実体験がない。日本に居た頃でも郷里を出て東京に暮らして、混み合う帰省ラッシュは避けていたので、お盆に開催されがちな「同窓会」なんて懐かしいお誘いも、１，２度有ったような気がするけれど、参加したことがない。そして声がかからなくなった。そういえば田舎ではお盆に開かれがちな「成人式」にも出なかった。
それはさておき。
父方の墓は知らない。戦中生まれの父親は、私生児で孤児院育ちだという以外、生い立ちをあまり語らない人だったので、出身地以外詳しいことはわからない。孤児院で育ったということは、父の父方または母親は父を養育しなかったということで、戦中戦後でどんな事情があったかは知らないが、敬うべき御先祖様だとは思えないし、墓を参る義理も無かろうと思っている。父には異父弟妹が居るので、墓はそちら方面でよろしくやってるのかもしれない。
母方のお墓はわたくしが生まれ育った郷里に在る。母の父母、わたくしの祖父母にあたる人々の墓だ。ただ私が生まれたのは２人とも亡くなったあとで、写真でしか知らない。2人とも40代で早逝している。この墓には3年前に親父が死ぬ前、もう長いこと無いんじゃないかと知らせを受けて一時帰国したときに、久しぶりに参りに行った気がする。
つまり。
私は「祖父母」を知らない。墓参りも数えるほどしかしたことがない。縁が薄いとでも言うのだろうか。
墓。
3年前に親父が死んだとき、というよりは死ぬ前から、わたくしの両親や母方の叔母連中が、市営の共同墓地（に隣接する私営の共同墓地…何処ぞの寺の坊主と墓石屋以外を使うことはまかりならぬ、という縛りをよく説明も聞かずに半ば騙されるような形で）を購入しており、「みんなで入る。納得している」と宣言していた。死ぬほうはそれでいいかも知れないが、生き残って墓の掃除や管理費を払う側はもろに少子化で、（事実、わたくしとて子供は居ない）誰がその共同の墓の掃除や管理費を負担するのか、などでわりと話がまとまらず、有耶無耶になったままである。自分もそこに入ろうと企んでいる独身の叔母(母の妹)が声高に主張するには、頼みの綱は何処かに嫁に行った母親の妹の娘、つまり私の従妹のひとり娘で、これに将来的に墓の管理を頼むのだ、という心許なさである。これは早晩無縁墓・仏になるのは目に見えている。勝手なものだ。
そもそも。
なぜそこまで墓に拘るのかさっぱり理解できない。わたくしは人は死んだらハイそれまでよ、と思っているので、墓も要らぬし、骨も置いておくのも荷物になるだろうから、太平洋の公海上にでも散骨してもらえればそれで結構と思っている。食道癌を宣告されて、最悪あと１，２年くらいしか生きないなと覚悟したときにも考えは変わらなかった。家人に言ったら「その時出来ることをやるだけ」と言う。ナイス。それで良いです。わたくしもきっとそうする気がする。墓を建てたければそうすれば良いし、あくまでも生き残った人間のやることだ。死にゆく人間が相応の対価を置いてゆくというのならばまだしも。語弊を承知で言えば、墓は死にゆく者にはエゴで、残されたものには厄介な荷物であることも多いのではないだろうか。そうではない墓参りは大事だし心のよりどころである。御先祖様は有難い。という人にはそれで良いだろうけれど。
こういうブログエントリをみつけた。
そしてこういう記述にハッとした。
死を思うとき、残される人達の心境を思います。実はこれが一番辛かったりします。死んだ後のことなんかどうでもいいとか言われそうですが、これが一番ダメです。「死ぬのが怖い」というのは、死ぬこと自体が怖いのではなく（多少ありますが）、死ぬことによって生じる状況が怖いのです。
その通り。
癌を宣告されて、あと1、2年で死ぬかも知れないなと思ったとき、死自体はあまり怖いとは思わなかった。ひとはいづれ死ぬ。どうしてもやり残したことも無い。ただ、私の死によってもたらされる事態が心配で仕方がなくなった。
そうだ。
このブログが私のお墓だ。
まだ暫くは死なないけれど。
ネット上のお墓は掃除も管理も不要。古くはなるけれど、ブログの提供会社が潰れでもしない限り残る。見たい（参りたい）ひとは寄っていけばいいし。放置されても暫くは朽ち果てることもあるまい。死にゆく自分のエゴも満たされる。そのうち有料ドメインから無料のものに移行しておこう。私が死んでもこのお墓ブログが暫くは残ると思うと愉快だ。押し付けがましくも無いだろうし。見たい人が覗いて行けばいい。
ちょっと趣旨が違うけれど、RCサクセションの名曲「お墓」。
人は忘れ去られることで2度死ぬ。肉体の死よりも魂の死のほうがキツイ。
ヘビイチゴ
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