断・胃食道亭日乗。旧「宇宙日記。宇宙にはぜんぶある。」

(消防署のほうから来ました。) 食道胃接合部癌→術後肝転移(Stage IV)のヲッさんの暮らし。

「食道がん術前術後の100日レシピ」

術後33日目、自宅療養19日目。

家人を検診に乗せていった帰りに、韓国系スーパーに立ち寄って茄子と、先日買いそびれた醤油と料理酒などを求めた。同じショッピングセンター内にPopeye‘s フライドチキン屋があり、お、ちょっと食べてみようかという気になりテイクアウトした。個人的にはケンタッキーよりもPopye’sのほうが好みだ。衣が雑に厚くてザクザクとした食感が良い。ビスケットも塩気が強い。フライドチキンとはこうあるべし、という風情で良い。

チキン3ピースにビスケットとオニオンリングとコールスロー、ソーダのコンボで$10.48。

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味が濃くて美味い。美味いけど胃を切っているので量が入らない。ビールが欲しくなったが我慢。後で苦しくなるのは嫌なので、慎重に食べる。胸肉1ピース(380kcal、タンパク質35g、脂質20g)、ビスケット1つ(207kca、タンパク質3g、脂質13g)オニオンリング3切れ(100kcal、タンパク質1g、脂質7g)ほど食べて満腹一歩手前で止める。総カロリー687kcal、タンパク質39g、脂質40gという内容(飲み物はダイエットコークで0kcal)で、一食のカロリーとしてはじゅうぶん、揚げ物だけに脂質が多いけれど、タンパク質もじゅうぶん取れて、悪い食事内容ではない。食後、胸焼けも胃もたれもせず大丈夫だった。

昔むかし、日本で某ドーナツチェーンで働いていたことがある。24時間営業で、揚げ油は夕方のピーク時のあとに交換することになっていて、全て新しい油に入れ替えるわけではなく、濾した油に新しい油を注ぎたすことになっていた。この交換したての油で揚げたドーナツは、交換直前の油で揚げたものに比べると軽くて胃に優しい。アメリカのフライドチキンチェーンの内部事情は知らないけれど、フレッシュな油で揚げたチキンやオニオンリングに当たると、やはり胸焼けも胃もたれもしないと思う。やはり狙い目は昼前の開店したてだろうか。知らんけど。

フライドチキンのカロリーや栄養成分を正視したのは生涯初かも知れない。一番少ない3ピースのコンボの1/3程度で700kcal弱というカロリーの塊であることが改めて分かった。1/3程度しか食べられなくなって、摂取カロリーとしては丁度いい塩梅とはこれまた妙な話だ。思し召しか。知らんけど。

食後1時間くらいして昼寝する。逆流も無し。非常に良い調子だ。

夕刻、栄養管理士から電話があり、腸瘻tube feedingでの摂取カロリーの相談。段階的に腸瘻tube feedingからの栄養摂取を減らし、口から食べる量を増やしながら、とにかく体重を減らさないというのが、2週間後に予定されている医者との面談、腸瘻tube feedingの取り外しの条件であると言われている。毎食フライドチキンを食べれば楽勝な気もするけれど、実際はそうもいかないので、いよいよ1日5食というか、3食に加えて間食を意識して食べることになる。胃を1/3切って、残りは食道代わりに「胃管」となっているせいか、食欲というものがあまり沸かないのだ。

職場の上司から電話。職場復帰後の仕事のアレンジなど、定期的な通院の必要もあるので、休日のアレンジなどを希望していたものが満額回答で通りそうだとの知らせ。ありがたい。もう1ヶ月以上、病休と有給をフルに使って休んでいるけれど、それもあと10日ほどで職場復帰かと思うと長いようで短かった。今年はコロナの影響で給料も減ったし何処にも出掛けられないので、有給を余すところだったけれど、まさか食道癌の治療で全てを使い果たすとは思わなかった。

夕食はフライドチキンの残り。コールスローが甘くて閉口する。自作のポテトサラダと合わせればマシになる確信があるが、また食べ過ぎで苦しむ予感しかしないので自粛する。

きょうは散歩(運動)が出来なかったけれど、気になっていた冷蔵庫の掃除が出来たのでよしとする。

日本のAmazonでオーダーした「食道がん術前術後の100日レシピ」が届く。

 

 

パラパラと読む。分かりやすく作りやすそうなレシピは参考になりそう。やはりアメリカで手に入りにくい食材が多少あるけれども。それから食道癌の情報や、手術を受けたひとの体験談も豊富で、巻末には載っているレシピの栄養成分表も付いており、参考になる。いい本だとおもう。何より日本語での情報がありがたい。

日本の医者は、わりと早い段階で腸瘻tube feedingを外して口からの食事を勧める傾向にあるようだけれど、こちらアメリカでは体重減は絶対悪みたいな感じで、私などは嚥下など問題がなく口からなんでも食べられるのに、なかなか腸瘻tube feedingを外してくれない。確かに食道癌手術後の体重減は、予後不良のひとつの要因であるし、医者もそこまでは管理責任があるという考え方なのだろうか。知らんけど。ともあれ、きちんと食べて体重を維持して、腸瘻tube feedingから自由になりたい。