断・胃食道亭日乗。旧「宇宙日記。宇宙にはぜんぶある。」

(消防署のほうから来ました。) 食道胃接合部癌→術後肝転移(Stage IV)のヲッさんの暮らし。

入院1週間

火曜日。

入院してまる1週間が経つ。早いような気がする。概ね寝てるか座ってるかしていないけれど。痛み止めを断続的に処方されているので、うとうとと座っている時間も多い。まぁ長い人生にはこういう時間があってもいいのかも知れない。明日の仕事のことや食事や買い物の事など心配しなくていい時間が。退院して出来るようになってから考えれば良い。

痛みはするものの、咳が出来るようになった。これは腹に力が入るようになったということだし、回復を感じる。咳は肺を守るために大事な所作で、身体の弱った人が、咳が出来ずにたんや誤嚥してしまったものを出せずに肺炎になってしまうのが致命的であることからもわかる。

朝6:30ころ。いちばん偉そうな外科医が、下々を引き連れて回診に来る。今後の検査の日程や、可能な限り歩くようになどと言う。私の腹を掌で押して、痛まないかと聞く。なんだ何かの儀式か。そのあと夜勤の看護師が、夜中の片付けや投薬、バイタルを取っていく。日勤の担当だという看護師が挨拶に来て、チューブ類の交換やフラッシュをしたり、朝の回診で新たに指示された投薬があれば追加する。身体の清拭や着替えを手伝ってくれる。ペインマネジメントチームと言って、専門医が痛いところは何処か、どういう処方をするか検討説明に来る。といった感じで午前中は終わる。午後はまた採血やバイタルを取りに来たり、投薬、運動の介助。栄養指導医が来たりもする。だいたいこの病棟の1日の流れが分かってきた。謎なのは、決まって夜中の2時から3時くらいに移動式レントゲン撮影装置をゴロゴロと引いてくるX線医だ。なぜそんな夜中に来るのかよく分からない。

で、きょうは大学の看護学生がやってきた。実習だな。白人の娘さん2人である。この大学の学費は、今調べたら年間$64,000。日本円で684万円である。総額ではなくて年間で$64,000。アメリカの私立大学にしては普通くらいの学費だろうと思う。多少の奨学金が出るとはいえ、親がちょい収入が良くないと来れない大学だな。

真面目な学生さんたちで、ベテランの看護師に付いて一生懸命に仕事をしている。マニュアルに忠実なのだろう、何度も名前と生年月日を確認してくる。いやいやいやいや…あなた方がさっきから嬲ってるのはそのアジア人のオッさんしか居らんやないかい!と、喉と鼻に管が通されて、喋るのも億劫な私は思うわけだけれど。喋るといえば、その管のお陰で発音が制限されるのと、声があんまり出ないので、私の英語が格段に通じずに辟易としていたのだが、このヤング看護学生達は、全て一発で私の言うことを理解していた。あれだ、ヤングで耳の感度が良いのと、勘の良さだ。グッジョブだ。彼女らが帰る段になったので、「君らはきっと良い看護師になるよ。お気張りやす。」と、メリケン的に褒めた。喜んでいた。

先日からの懸念であるChyle leakに関しては今日は検査できるかもと言われていたものの進捗は無し。鼻と喉に挿されて非常に不快なプラスチックの管を外して水や流動食が摂れるかを見るswallowing testが3日後金曜にあると聞いた。およよ。今日だと思ってた。まぁここまで来て焦る事もないか。何も飲み食いしていないのに、胃瘻から水分と流動食を入れるので、少しだけれど便通はある。何も咀嚼も味わいも満腹感も無しに排泄だけがあるというのは納得がいかない。