断・胃食道亭日乗。旧「宇宙日記。宇宙にはぜんぶある。」

(消防署のほうから来ました。) 食道胃接合部癌→術後肝転移(Stage IV)のヲッさんの暮らし。

術後5日目

朝、執刀チームの外科医が回診に来て、経過は順調だと告げられる。尿道に入れられたカテーテルも外してよいとのこと。これで自由にトイレに行けるが、あちこち痛むのを点滴やチューブを引きずりながら自力でいかなければならないということでもある。これもリハビリの一環でもあろうし、またひとつ、身体に繋がれたものが外されるのは嬉しい。

ペインコントロールチームというのが来て、何処がどのように痛むか聞いてくる。薬もあればパッチもあり、痛みは少しも我慢せずコントロールするというのがアメリカの医療の基本らしい。実際「痛い時に押すボタン」というのがあり、なんの薬かおまじないかは分からないけれど、点滴の管または胃瘻のチューブに、追加の液体が追加される仕組みになっている。おかげで痛みは殆どない。咳やくしゃみをしようとするとさすがに切り傷が痛むけれど、これも酷く痛むわけではない。

今日は病棟の廊下を1周半歩いた。もっと歩ける確信があったけれど、まぁそれほど身体能力が弱っていないことが分かったし、部屋に戻ってソファーで座ってることにした。何もやることがないので、あれこれボンヤリ考える。贅沢な時間だ。

午後、看護助手が身体の清拭に来てくれる。もはやほぼ自分で出来るのだが、まぁ手伝ってくれるというので、任せる。手術前の火曜の夜に水を飲んだきり何も口にしていないのに、歯磨きをするのも不思議な感じだ。まぁ適当にしか磨かないし、歯茎のマッサージにはなろうとと思うけれど。あぁ落ち着いたら一本歯を抜いて、インプラントを入れなきゃいけないんだった。今年は医者通いの年だな。

午後、医者が来て、切除した患部付近に"Kyle leak"という症状が見られるという。脇腹から出ているチューブの体液の色が濁っていることから判明したらしい。リンパ節のあたりだという。接合の不良かもしれない。経過観察中で、小さなもので治りつつあるのなら何もしない。漏れが治らないようならばコイルを入れて止めるとも言っていた。話が難しすぎてあまり理解できなかった。明日検査すると言っていたので、まぁそれを待とう。

今日も1日が暮れていく。日が長いのでよい。これが夜が長い冬だったらちょっと滅入ると思う。何があるわけではないけれど、夜が明けて明るくなってくると嬉しいものなのだ。入院は夏に限る。

しかし部屋のエアコンの設定がデフォルトで70度(摂氏21度)に設定されているのがいただけない。アメリカ人は暑がりだし我慢をしない、加えて病院でみんな動き回るから、半袖で21度でもちょうどいいんだろう。ペラペラのガウン一枚で、安静にしている患者の私には耐えられないほどの寒さになる。エアコン設定を上げて貰っても、作業に来た看護師やスタッフが暑がって温度を下げていく。これが地味に辛い。寒い。21度は無いわ〜