断・胃食道亭日乗。旧「宇宙日記。宇宙にはぜんぶある。」

(消防署のほうから来ました。) 食道胃接合部癌→術後肝転移(Stage IV)のヲッさんの暮らし。

入院9日目

2回延期されたリンパ液のチョイ漏れ問題Chyle leakに対する治療は、今朝ようやく行われた。軽く考えていたら3時間くらいかかって少し疲れた。鼠径部、両太ももの付け根のリンパ腺にワイヤーを入れて、切除した食道のあたりまで差し入れて何かグリっとやって、リンパ液の漏れを止めたと言われた。いやしかしこれ地味にメジャーな術後合併症のひとつではなかろうか。うまく行ったというのだからいいと思うけど。

入院9日目。

もうナンボなんでも半分は過ぎただろうと希望を持ちたい。両脇腹には相変わらずドレインが刺さったままだけれど、まぁこれは不自由だけど仕方がない。鼻から刺されて接合患部に達しているドレインが痛い。これだけは外したい。金曜日にswallowing test後、切った食道と胃の接合部が繋がっていて漏れが無ければ外す、と言われているので、今週の希望はそれだ。

しかしアメリカの病院は自由だ。検査や投薬に技師や看護師が来るけれど、基本放って置かれる。個室で消灯なんかも無いので、うっかりソファーでスマホをいじっているともう日付が変わる夜中だったりする。なんなら冷蔵庫にビールと柿ピーでも置いてありそうな雰囲気だ。それはさておき先ほど薬を4種類くらいドカドカと打たれたので、身動きが鈍くなってソファで寝込んでも宜しくなかろうと、ナースコールをした。ナース!ナース!…というのは懐かしいパンクブーブーのネタだ。あれは秀逸なギャグだった。知らんけど。

ところでナースコールをすると、手元のリモコンみたいな装置から応答があり、ん?なに?どうした?と訊かれるので、喋るとカテーテルが喉に入っていて痛い私としては、最小限に喋って用件を通したいので素振りもとい発声発音練習をしてからコールボタンをグイッと押す。わしかし担当階の病棟の看護師というのは決まっていてその人しか来ないわけだから、呼ばれたら理由など聞かずに来てくれてもいいのではないかと思うのだが、世の中にはどうでもよいことで人を引き留めて延々と自分語り聞かせて相手の時間を奪う「妖怪構ってちゃん」みたいなのも居るから、いったんナースステーションでフィルターをかけるというのは理にかなっているのかもしれない。お喋りな連中が多い国では特に大事かもしれない。