断・胃食道亭日乗。旧「宇宙日記。宇宙にはぜんぶある。」

(消防署のほうから来ました。) 食道胃接合部癌→術後肝転移(Stage IV)のヲッさんの暮らし。

バリウム(ベリー味)を飲む。

1ヶ月ぶりくらいの病院。CTスキャンを撮りに来た。術前放射線&化学治療の効果を診るのに外科医がオーダーしたもの。結局PET/CT Scanは、アピールにも関わらず保険会社が認めず、医者が「コントラストCTスキャン」にオーダーを変更して、胸部と腹部のCTスキャンを取って来い、となった。保険会社め。

熱はあるか?コロナ患者との接触はあったか?外国に旅行したか?という質問三点セットを病院の入り口で突破してマスクを着けろと渡され、受け付けで全く同じ質問に答えて本人確認をされて、書類に何やらサインさせられる。

…造影剤は、「モカ」か「ベリー」のフレーバーどちらがいい?あなたにはチョイスがあるぞ。という項目は実にアメリカっぽいなぁ、ベリーにしとくか、どうせどっちも不味いんだろう?などと思っていると、妙齢の女性が待合ロビーに出てくるなり号泣しだした。理由は分からないけれど号泣だ。あまり良い知らせを聞いたわけではなさそうだ。病院の待合いロビーで泣いているひとというのはどうにもやるせない気持ちになる。間隔を開けて待合いロビーに座っている我々も一瞬だけ目を向けるものの、目を落とすか逸らす以外に無い。自分は、あまり人を泣かせたくないものだな、と思っていると、女性は何事もなかったかようにスタスタと歩き去って行った。切り替えの早い人なのか?それとも精神的な病気なのかも知れない。

 

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放射線病棟にチェックインすると、検査技師がやってきて、「ベリー」風味の造影剤を渡されて、20分くらいで飲めという。「バリウム」と書いてある。450mlを2本。よく冷えている。ベリースムージー。なんだ、バリウムを飲まされると聞いていたら、心の準備ってものがあったような気もするけれど、ここまで来てどうしようもない。飲む。薄甘いプロテインドリンクのようで、不味くはない。けれど決して美味いものではない。薬剤だから当たり前だろうけれど。

程なくして、ぐあんぐあんと何かが回っている筒型の機械にズボンを半分脱いで横たわるように言われる。胸部と腹部だから全部脱がなくても良いらしい。撮影は5分ほどで終わる。スキャン画像をCDに焼いて貰うのに15分ほど待って、それを貰って病院を出る。

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銃はダメよって入り口のガラスドアにペイントがしてあった。アメリカだなぁ。

ベリーバリウムで腹がたぷんたぷんするけれど、大人しく仕事に行く。暫く腹の膨満感がするけれど、大して不快ではない。

仕事を終えて帰宅してからCDをパソコンに差し込んで、外科医の病院の指定通りにCTの画像をアップロードする。なんだかハイテクだなぁ、と、おのれの胸部と腹部の輪切り的なCTスキャン映像を眺めながら家人と話す。癌が何処にあるのかは分からなかった。腹部を冷静に眺めると、コロナ太りしたのはまぁわかった。