FUTON
少し、おばあさんみたいなにおいがした。おばあさんが住んで居た部屋にあったからだろう。
"FUTON"の語源は、日本語の「布団」らしい。
一部のアメリカ人は、日本で言う「ソファーベッド」をそう呼ぶようだ。"Sofa bed"でもおかしくない英語だとは思うけれど。
アパートの下の階に住んでいたご老人が、独りで暮らすことが困難になって、介護付き老人ホームに引っ越すことになったのだという。
部屋を引き払う段になり、近くに住む息子さんが部屋を片付けるということで、アパートの住人あてに、欲しい家具があれば、好きに持って行って欲しいというメールが回ってきた。
無料。お金に余裕があるのならば、このCOVID-19で困っている人たちに届くように、しかるべきところに寄付してほしいとのことだった。
ちょうど私が寝ている中古で手に入れた15年ものの、IKEAのソファーもスプリングがヘタってきており、これは出来れば少し真っ当なものがほしいな、と思っていたところだったので、渡に船、とばかりに見に行った。
土台はしっかりとした木枠で、ネジ止めされている。簡単な操作でソファーになり、ベッドになる。Made in Indonesia と書いてある。時代的にIKEA以前の家具、80〜90年代の家具だろうな、という感じがした。
これ貰います。
と言ったものの、どうにも部屋から出ない。
20分ほど汗をかいたあと、これは分解組み立てが要るのではないか、とくだんの息子氏に話したところ、数日後に引っ越し屋が来るから、彼らはプロだろうから分解せずに運べるかもしれない。もし分解が必要ならば、彼らに頼んで分解してもらって、運んでもらうように頼んでおく。という有難いオファーを頂いた。
問題は。
もし分解されてウチの部屋に持ってこられた際に、私が再組立てできるかどうかだ。
全く自信が無い。持ってきてくれる引っ越し屋の人に、頼んでみるという手はある。いくらかチップをはずんで。