断・胃食道亭日乗。旧「宇宙日記。宇宙にはぜんぶある。」

(消防署のほうから来ました。) 食道胃接合部癌→術後肝転移(Stage IV)のヲッさんの暮らし。

海苔をください

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おにぎりに巻いて、バリっと噛み切れる適度な厚さの海苔ってあると思う。寿司の軍艦巻きだってそうだ。

好みもあろうけれど、分厚ければいいというものでもないだろう。おにぎり専用の海苔なんて、もはやコビンニあたりが研究してるかも知れないけれど、塩梅の良い海苔は家庭用にも需要はあると思うので、メーカーはチンャスだ。知らんけど。

先日、夕方までかかるかと思っていた抗癌剤の点滴がするすると昼過ぎに済んで、持って出掛けたおにぎりを食べる間もなく、帰宅して食べた。

ガスコンロで炙った海苔を湿気らないようにジップロックに入れておいて、直前におにぎりを包んで食べた。

海苔は日本からの輸入品で、ナントカ屋と書いてある海苔。パッケージに手巻き寿司の絵がプリントされてるやつだ。全型10枚入りで$4とかそれくらい。

これが微妙に厚くて、おにぎりに巻いて、少しして湿ると、歯ごたえが出て噛み切れなかった。もっと湿気ると弾力を失ってまた噛み切れるようにはなるのだけれど。

「ううむ、その厚さじゃないだろう。」と思いながら咀嚼する。

もしかして輸出向けの海苔は、やや厚めに作られているのかもしれない。というのはアメリカでは、スシといえば飯の量が多い巻物、海苔を内側に巻き込んだカリフォルニアロールなどが根強い人気だ。確かにあれは美味いし腹が膨れる。カニカマとアボカドの組みあわせは、生魚が苦手な人にもウケが良い。クリームチーズなんかが入っていれば豪華版で、これもまた不思議に酢飯と合い美味い(個人の感想です。)

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そして、ああいう「裏巻き」を巻くのには、少しぶ厚で丈夫な海苔のほうが都合がよい。薄いとシャリを伸ばしている端から破れてしまうからだ。巻いてみるとわかる。

恐らく、そんな需要に合わせて作られているのではないかと思う。

 

パリパリではなくて、あらかじめ巻いてあって、海苔が「しっとり」としたおにぎりも好きだ。

というか、食べる時になんかスルッと引っ張って、パリッとした海苔で食べるおにぎりなんてあれは、1980年以降のコンビニおにぎりの産物だろう。高校生の頃だったと思うけど、クラスの洒落た男がそれをバリリと食べていて、ん?バリリ?なんだそれは?と思ったのを覚えている。

というわけで、おにぎりといえば私の中では長らく、しっとりと海苔が巻かれたものだった。なんならそれらがきれい目な包装紙なんかに包まれているのが母親が握ってくれたおにぎりだった。具は梅干し一択。あとに友達が食べてるのを見てリクエストした「おかかしょう油」が認めらた。のちに東京で独り暮らしを始めて、時々コンビニを利用するようになるまでは。

それはさておき。

海苔といえば去年、宮城県某市の個人経営の回転的な寿司屋で食べた、イクラの軍艦の海苔が香りが高くて、家人と目を見合わせて、うまいうまいこれはうまいと言いながらおかわりして食べた。いままで食べてきた海苔ななんだったんだ?というくらい別物だった。

いや我々は長いことアメリカ暮らしだし、海苔といえば普段は先述の輸入物の雑な海苔くらいしか口にする機会がないから、それは日本でちょっと良いモノに出会うとえらく美味いものに感じてしまったかもしれないけれど。

しかし宮城は海苔の銘産地(地元贔屓)なので、あの寿司屋は良い海苔を使っていたに違いないと確信している。回転的な店であったのにもかかわらず、勘定は2人分で1万円を超えたはずだし。散々酒を飲んだにせよ。

 

何が言いたいかというと、日本で良い海苔を買ってくるのを忘れて後悔している。

そして在外に住む日本人へのお土産は「良い海苔」一択でお勧めしたい。脆いので取り扱い注意だけれど、持ち運びには軽いし、絶対に喜ばれる。

というか喜ぶので海苔を下さい。