アメリカでインプラント5年ぶり2回目
前回は2016年の6月だったので、ほぼ5年ぶり。2回目だ。
免疫力が下がる抗癌剤の治療中に歯を抜くなんていいのか？と思って医者に聞いたら、2週間毎の点滴と点滴のあいだのタイミングなら良いといわれたのでやることにした。抜歯後にジェリービーンズのような大きさの抗生物質を1週間、がっちりと服用した。おなかを壊した。日々、納豆とヨーグルトとぬか漬けで育てているわたくしの腸内環境が怒ったのだと思う。
それはさておき。
前回は下顎の「30番」だった。今回は上顎の3番。ちょうど30番と噛み合わせる歯だ。日本での数え方ならば、たぶん「右上6番」、右上顎の奥から2本目の歯だ。親知らずが生えた人なら3本目にあたる歯で、奥歯として1番早くに生えてくる永久歯の一本だろう。
私は歯は子供の頃から管理が悪くて、早くにあちこち虫歯になり、この「右上6番」は確か10代早々に既に大きな銀のクラウン着けることになったはず。以来、この歯は厄介者で、日本でもアメリカでも根治治療、root canalを2回も3回もやった記憶がある。1番お金のかかった一本ではなかろうか。
この歯が今回、遂に歯医者に匙を投げられた。歯周ポケットが7ミリ、歯根周りに炎症があると言う。歯根が折れているかも知れないからと、自腹($250！)でグルリとCTスキャンを撮られ、それでも折れているかヒビが入っているかどうかは良く分からず、しかし治療の施しようが無いので、もう抜くしか無い、さもなくば炎症が進行して脳髄にまで達したらヤバいぞと脅し気味にいわれる。2件の歯科医に聞いたけれど同じ意見だったので観念した。とんちんかんちん観念さん。知らんけど。
前回の下顎のインプラントは、十分な厚みの骨があり、神経に触れる心配がないことから、抜歯後3、4ヶ月後に特に何もせず人工歯根を埋め込んだ。
けれど、上顎の場合は少し複雑で、顎の骨のすぐ上に「サイナス」と呼ばれる鼻腔に繋がる空洞があり、人工歯根がこれを突き破ってしまうと感染症にかかり、極めて宜しくない事態になるらしい。
そこで抜歯後に「人工骨の素」のような粒々を抜歯後にグリグリと固めるように押し込まれて縫合されたのであった。これが固まって、インプラントをねじ込むのに十分な上顎の骨の厚みを確保するのだと言う。
あとで請求書をよく見たら、この人口骨の基の治療が保険適用外で、全額自腹で＄800くらい請求されていた。ひえーっだ。けどもアメリカの歯科治療なんて自由診療で言い値だからそんなものなのだ。
縫合糸は徐々に溶けるものらしく、あとは100日後に来いと解放される。骨化した人工骨の素の厚さを確かめて、その頃には癒えている歯茎を切開してインプラントを埋め込むのが次の段取りだろう。これに恐らく、過去の経験から推測するに、$2,000くらいかかるだろう思う。そのあとまた3ヶ月くらい待って、チタン製の人工歯根がガッチリと骨に結合されたのを確かめて、一般歯科に行ってクラウン、セラミックの差し歯を入れて貰って一丁上がり、ということになるだろう。差し歯は恐らく保険が少しカバーして$1,500くらいと想像。
つまり。
抜歯から骨の形成をしてインプラントを入れて差し歯が入るまでに7、8ヶ月と$4,000＋の費用がかかると言うことだ。です。一部保険が効いてのお値段でこれだ。アメリカは歯科医は自由診療だし言い値だし、歯の保険はカヴァー率がとても悪い。だからみんな子供の頃から歯だけは大事にする。まー常にスマイルみたいな文化的背景もありましょうけれど。子供の頃から歯の悪い私はこれまでの20年＋のアメリカ生活でどれほどのお金を歯科治療に使ったか。計算するのも嫌だけど、2、3百万円は使ってるはず。やれやれだ。
しかし審美的なことはさておいても、きちんと咀嚼して食べるというのは大事だし、口腔衛生はもっと大事。近年の研究では、口の衛生状態が悪いと、糖尿病やアルツハイマー病や、肺炎などの感染症のリスクが高いと言われているわけで、ここは歯医者に通えるうちにやっておきたいところ。すっかり老いてからだと面倒だろうし、また時間もお金もガッツも要るだろうし。
やれやれだ。
もし、わたくしに子供がいたら、教育よりも歯にお金をかけてやりたい。学校なんてロクなことを教えないので、どうでもいいけど、歯は大事。
痩せてしまって体重を戻したい今は、ダイエットではなく普通の砂糖入りのジンジャーエール。140kcal。抗癌剤の点滴中に貰う。常温でも美味い炭酸飲料のひとつだというのを、隣で点滴しているアメリカ人のヲッさんがうまそうに飲んでたのを真似して学習した。ジンジャーエールは常温でも美味い。いやもしかして常温でこそ美味い。大事なことなので3度書く。
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