断・胃食道亭日乗。旧「宇宙日記。宇宙にはぜんぶある。」

(消防署のほうから来ました。) 食道胃接合部癌→術後肝転移(Stage IV)のヲッさんの暮らし。

食道癌手術後1ヶ月

術後30日目、自宅療養17日目。

術後1ヶ月が経った。腹と背中を切開する食道癌の外科手術は、最も浸潤が大きい手術で、何らかの合併症に罹る可能性は50%、術後1ヶ月以内の死亡率は2〜3%と聞かされた。合併症のひとつと言っていいのだろう。私も術後3日くらいにリンパ管の損傷による"Chyle leak" 乳糜漏(にゅうびろう)というリンパ液漏れがわかり、3日後くらいに太腿の付け根からカテーテルを入れて3時間くらい何やら手術めいた作業での治療があった。

術後今日が1ヶ月目で、幸い生きているので、2〜3%の危機は脱した。もっとも食道癌は60代から70代の男性に好発する癌らしく、その中央値は67歳だという。それくらいの年齢になっていれば、体力の衰えている人も多かろうし、既往症や基礎疾患のひとつやふたつあっても不思議ではない訳で、この場合の合併症や術後の死亡率は上がるというのもわかる。けれど私のように50代早々に食道癌になる人も居れば、40代で食道癌に罹った女性のブログも複数見つけた。罹る人は罹る。そして若ければ予後が良いというわけでもない。困ったことに。

ひと山超えた。けれどこれからだろう。再発や転移が無いことを祈りながら生きていくしかない。

きのう稲荷寿司が食べたくなって作った酢飯が大量に残った。うちは初老の2人暮らしだった。酢飯2合半は明らかに作り過ぎだった。7月10日は納豆の日、納豆手巻き寿司の昼食を摂っていたところに病院の栄養管理士から電話。曰く、医者の指示で、腸瘻tube feeding用のフォーミュラ(液体)を、より栄養価の高いものに変えるという。これまでのものは250mlで250kCalで、1時間に100mlのペースで1日12時間で1,200kCalを摂取するようにと言われたばかりだった。あたらしいものは250mlで375kCal、1時間に67mlのペースで12時間、1,206kCalを摂取しろという。何が違うの分からないけれど、カロリーが高いフォーミュラということは、たぶん脂肪分が多いのかも知れない。ペースを落とすのは消化により時間がかかるという事なのだろう。最初はお腹が緩くなるかもしれないと言われた。術後の合併症のChyle leak(乳糜漏)があったあとから脂肪分の摂取を制限されていたことを思い出した。あまり気にしていなかったけれど。

あたらしいフォーミュラは明日、4ケース(8ダース、250 ml x 96本)届くと言われた。市販のものを買えば1本$7、8はするので、少なく見積もっても$672。しかしこれが全て保険でカヴァーされるという。今月の「食費」7万円が殆どタダだ。まったく何という保険だ。今使っているフォーミュラがまだ4ケース(8ダース、250 ml x 96本)も残っているのに、勿体ない話しだ。これはモノがモノだけに返品は効かないだろうし、余ったものは、おそらくは捨てるしかない。つくづく勿体ない。何とか必要としているひとに使ってもらう方法は無いだろうか?近所なら車で届けてもいい。

午後、家人が何やらカッコいい警察官がやたら走るドラマを見ていた。ああいう日本のドラマを何処で見つけてくるのか。先日はキムタクがカッコいいボデーガードをやってるドラマを見ていた。思うに。21世紀になってもしかし、人は相変わらず「善悪勧進帳」が好きだなと思った。悪者を捕まえてスッキリするやつだ。子供の頃、年寄りが水戸黄門とか大岡越前や暴れん坊将軍を熱心に観ていたのと同じだ。そういえば少年隊の東山が大岡越前守やってたもんな。「正義」に必ず勝ってほしいのだ。それで良いのかも知れない。実際の政治や選挙にはあまり関心が無いようだけれども、ファンタジーは裏切らないから熱心に観るのだろう。

 

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散歩していたら、百日紅(さるすべり)が咲き始めていた。真夏のカンカン照りの下で暑ければ暑いほど生き生きと咲く花で、まったくもって夏の間中本当に100日ほど元気に咲いている。いつ見ても胸のすく思いがする。元気をもらいたい。