断・胃食道亭日乗。旧「宇宙日記。宇宙にはぜんぶある。」

(消防署のほうから来ました。) 食道胃接合部癌→術後肝転移(Stage IV)のヲッさんの暮らし。

お見舞い

職場復帰して、会う人会う人にお見舞いをいただく。ギフトカードだったり現金だったり、それぞれを合算すると結構な額になる。こういうのは気持ちだから有り難く頂戴する。頂戴するけれど、お返しをしないわけにはいかない。これが正直面倒で手間がかかる。有難いのだけれども。

日本的な職場では、冠婚葬祭に出産祝い入院療養など、こういうときは部署全体でお金を集めてひとまとめにして渡すのがよくある慣習だ(った)。今は違うかもしれないし、職場のカルチャーにも違いが大きいだろうけれど。ともあれ、「集金して部署ごととりまとめ」は、ナンセンスだとずっと思っていた。お金を出したくない人もいるだろうし、見舞いを渡したければ個人で好きな品物や金額を渡せばいいではないか、と思っていた。つい先日まで自分がお見舞いをもらうまでは。 

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けれどこの「まとめて渡す」のには大きな利点があったのだ。第一に、貰ったほうが個別にお返しを考えて渡す手間が省ける。まとめて貰ったお見舞いはまとめて1回で返せばいいから楽なのだ。部署全員で食べられるお菓子なんかが最適だろう。ひとりひとり貰った額に見合うお返しを考えて選んで買って個別に渡すというのは、けっこう地味で面倒な作業だ。10人からもらったら10人個別に返すのは本当に手間だ。第二に、金額の負担が比較的少額で済む。個人でのお見舞いとなると、数百円の金員では格好がつかないけれど、部署でまとめてとなれば、ひとり数百円でもそれなりのお見舞いが出来る。お返しするほうも同様に、それなりのお返しを一つ、さして思い悩む事なく部署あてに返せば済む。なんと合理的で個人個人に優しい全体主義だろうか。日本凄い。

けれど金銭や品物を、職場でお見舞いに渡すというのは、やっぱりお互いに面倒だからよせば良いのにと思う。好んで付き合っている人間関係ではないのだから。職場なのだから、ちょっと体力的にキツい作業を代わってくれるとか、病気のことを根掘り葉掘り聞かないとか、そういうちょっとした気遣いで十分有り難いと思う。