断・胃食道亭日乗。旧「宇宙日記。宇宙にはぜんぶある。」

(消防署のほうから来ました。) 食道胃接合部癌→術後肝転移(Stage IV)のヲッさんの暮らし。

実にいい一日だった。

嫌な思いを一つもせずに、元気で用事が全部済んだ素晴らしい休日の1日だった。

きのうまでは、身体が辛かった。

職場でも立ったり座ったり、電話や呼び出しに対応するのかがやっとで、きつかった。食欲も全くなく、昼食にと持参したお握りも、無理やりお茶で流し込んだ。いやー、身体的に楽な仕事でよかった。きつい時もあるのだけれど、この新型コロナの影響で、それほどキツイ事が無くなってしまった。

家人にもロクな食事を用意してあげられず申し訳ない1週間だった。

とにかく熱と倦怠感がひどかった。毎日のように熱が出て、毎回解熱剤を服用していた。

これは抗癌剤の副作用というよりは、癌そのものの症状で、「腫瘍熱」というものかも知れない。患部付近の肝臓上部から胆のう、右あばら骨のあたりが痛くて、ひどい時は一呼吸ごとに痛んで難儀した。

あるいは2週間近く前に打った、新型コロナワクチンンの3回目と、インフルエンザワクチンのダブルショットの副反応かも知れない。そろそろ抗体が出来るころだし。知らんけど。

どっこい。

今日は抗癌剤治療2クール目2回目の日。

前夜と早朝に、例のデクサメタゾン、トランプ元気薬を、夜中と早朝に大量に服用する。これでがぜん元気が出た。返す返すも恐ろしく効果のあるステロイドだ。

朝も熱は無く、手足の痺れも心なしか軽くなったような感覚、軽めの足取りで点滴を打ちに行く。

体温は97.7度(摂氏36.5℃)、私にとっての平熱だ。

今回の点滴は1剤のみなので、事前の吐き気止めの点滴や休憩時間も含めて、所要3時間ほど、ショック症状もリアクションも無く、スムーズに終える。

絶好調。

帰りに重たいもの(トマトソースや缶のスープ、ソーダやジュース、牛乳や野菜など)を買って帰る元気もあった。

絶好調。

食欲も少し出たので、ガッツリしてカロリーのあるものを思い、冷凍のラザニアを買い、レンチンしてプロテインドリンクで流し込んだ。680キロカロリーに、タンパク質が47g摂れた。よい。

タンパク質はさておき、カロリー的にはこれを1日3食か4食で毎回摂らなきゃいけないのか。これは大儀だな。酒でも飲めればカロリーの助けになろうけれど、さすがに抗癌剤の投与当日を含めて5日間はお酒は飲まないことにしている。肝臓に癌があるのにそりゃ無いだろう、というわけで。

というわけで絶好調。

午後は、2週間前に入れたインプラントのフォローアップ検診。

全く問題ないようで、100日後にまた検診して、インプラントの骨への安定固着が確認されたら、新しい入れ歯(クラウン)が取り付けられるという。

絶好調。

検診がものの10分で終わったので、かねてから行こうと先延ばしににしていた、車のオイル交換とタイヤのローテーションに行った。

前回までは、タイヤをフルセットで買った、「Mr.〇〇」というフランチャイズチェーン店に頼んでいたのだ。家から近いし、なんなら車を置いて歩いて帰宅できる距離だし。

そこでタイヤを買った客はパンクの修理とタイヤのローテーションはずっと無料で、実際に払うのはオイル交換の費用だけで済むというサービスが気に入っていたからだ。

ところがこの店は、2年ほど前にオーナーが変ってから、急に商売っ気が強くなり、オイル交換とタイヤのローテーションだけを頼んでも、やれ「ブレーキフルードを交換しろ」とか「ショックが痛んでいる」とか「デフを交換しろ」とか、およそ直ぐには必要のないであろうサービスを押し売りしてくるようになった。今すぐやれるよ、と。

車は生活必需品なので、ここに修理しといたほうが良い、不安に煽らるのも、l最初はそんなものかと、も思って、あーじゃーせっかくだし、やっといてもらえる?みたいな感じで、やってもらっていたら鉱物合成オイルの交換(最高グレード)だけなら100ドル程度のところを、3回続けて1000~1500ドルなどという修理見積を出してくるようになったのだ。

いいカモだと思われていた気がする。

3度目は流石の私も、これはおかしい、と思い、オイル交換とタイヤのローテーション以外は断った。ナンバープレートを照らす小さなライトが切れているというので、それだけはまぁ、交換してもらうことにして。

そのライトの交換でさえ、ライト代金12ドルに工賃1時間89ドルを請求してきた時点で、私は確信した。この店は、ボッタくり店になってしまったのだ、と。

まぁ、お金持ちが多く住む地域(私ゃ例外ですよ)なので、そんな1000ドル2000ドルくらいポーンと端金だと気にしない客が多いのかも知れないけれど。

というわけで、今回は新規開拓、予約なしで素早いオイル交換を売りにしている全米チェーン、「J某」という店が、歯科医からの帰り道にあったのを覚えていたので、飛び込んでみたら、これが大当たりだった。

まず、空いていた。

時刻は午後3時半ころ、車を寄せると、暇そうにスマホを弄っていた作業員が、ナイスな挨拶で丁寧に出迎えてくれた。

第一印象って大事だな。

オイル交換とタイヤのローテーションをして貰いたいと伝えると、直ぐに作業に取り掛かってくれた。

と、ここで、オイルが漏れていてオイルのレベルが基準下限より低くなっていたことが判明。

いや正確には数か月前に気づいて、オイルの継ぎ足しはしている。古い車だとよくあることなのだ。前に乗っていた車もそうだったので、そんなもんかとオイルを継ぎ足していたことがあったので。

聞くと、前回交換時に、(ボッタくり認定店での)オイルキャップの締め付けがいい加減で、ガスケットも使いまわしで亀裂が入っていたからだという。

嫌がらせか。

なんてダメなボッタくり店だろう。オーナーが変わって真っ当な商売でもしないと、いづれあの店は潰れるな。間違いない。

私のこういう予言はよく当たる。

流行ってたラーメン屋も潰れると予告したら当たったし、むかし焦げたチキンを平気で配達してきたピザチェーン店も撤退した。やる気の無さそうな紳士服屋も倒産したし、ビールサーバーの管理がダメなパプも潰れた。

それはさておき。

オイル交換とタイヤのローテーション。

同時進行で、車内の軽い掃除機がけと、窓ふき、冷却水や窓洗浄液の補充、フィルター類のチェックも無料でやってもらい、30分程度で全て終了、余計な修理や交換を勧められることは一切無かった。

一点、トランスミッションオイルのフラッシュを、次回のオイル交換時くらいにやったほうが良いよ、と勧められただけだった。うーん、260ドルくらいかな、と、さりげなく見積もりを出しながら。

今日いきなり260ドルと言われるのと。次回はこれだけかかるよ、と言われるのでは、インパクトが全然違う。まー次回半年後くらいに260ドルならいいか、と思うではないか。

これですよこれ。これがサービス業の骨頂。この「J某」は、リピート客をひとり掴んだぞ。

次回またこさせようと思わせなければ、リピーターを獲得しなければ、商売は成り立たない。

話題性だけで、一発短期間で勝負する事業形態でないのなら。

お代はタイヤローテーション25ドルに、オイル交換69ドルで、合計94ドル。

なんじゃー、タイヤのローテーション代金25ドルを払っても、ボッタくり店より安いじゃないか。

そして店員や作業員の対応や立ち働く姿が気持ちよく、チップを置いてこようかと思ったくらい気分が良かった。

「J某」で、(この車では)初めて利用すると言ったのが少し効いたのかも知れない。

商売ってのは、リピート客を掴んでナンボなので、初回の客には特にナイスにするように教育されているのかも知れない。知らんけど。

気分よく帰宅。絶好調。

帰宅の道すがら、近所のクリーニング店にようやく行けた。駐車スポットを見つけるのが難しい繁華街の端にあるのだけれど、今回は待っていましたとばかりに好位置にスポットがあった。縦列駐車もビシッと決まり、いい気分。

絶好調。

トランプ元気薬、デキサメタゾンのお陰で、抗癌剤投与当日と翌日くらいまでは調子がいい。

食欲も少し出たので、一昨日の手巻きずしの酢飯をフィニッシュすべく、稲荷ずしと梅肉かっぱ巻き、お香小巻にイクラ巻きを誂える。みそ汁も10日ぶりくらいに作った。豆腐とエノキダケ。

昨年作った自家製の味噌が底をつきそうだ。

今年は寒い時期に体調が悪くて、どうにも味噌を仕込むガッツがなかったので仕方がない。

あたたかい時期でも味噌は仕込めるそうだけど、やはり黴や雑菌も繁殖しやすいので、素人の味噌づくりは寒いのほうが良いだろうと思う。新大豆が出回るのも秋になってからだし。

話しがそれた。

夕食。

それから、職場のひとに「精をつけなきゃ!」とニラを頂いたので、お勧めの通り「ニラ玉」を作った。

これが抜群に美味かったのだ。適当に切ったニラを、適当に濃縮そばつゆを混ぜた卵で溶いて焼いただけなのに。

さすが少林寺の門に、「不許葷酒入山門」とし貼り紙がてあっただけのことはある(ジャッキーチェンの映画で見た。)

「葷」(精進料理で使ってはいけない野菜)と酒は持ち込み禁止という意味だろう。

「蒜(にんにく)」「葱(ねぎ)」「玉葱」「薤(らっきょう) 」「韮(にら)」が、その「葷」にあたるらしい。

草かんむりに「軍」いくさ、つわもの、とはこれまた勇ましいではないか。「クン」または「くさい、なまぐさい」と読む。

食べていると本当に元気が出てくるようだった。

身体がこういうものを欲していたのだろうか。知らんけど。

昨夜も断続的にしか眠れなかったのに、今夜も日付が変わるころになっても全く眠くならない。ステロイドの大量服用恐るべしだ。

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ハイネケンのノンアルビール。正直サントリーの「オールフリー」よりも数段美味かった。ビールもノンアルビールも、水と鮮度がキモだなと、強く思う。

これはウチに常備して置くことが家人も同意のもとに即決された。

ま、こないだケチョンケチョンに貶したサントリーのオールフリーも、オールフリーと言いたいがために、味は二の次に持ってきているのかなとも思うけれど、そういうところだぞ、サントリー。(個人の意見です。)


www.youtube.com

ステロイドでハイになって眠れないので、Youtubeでこういう映像を延々と見ている。