食道癌手術から1年
食道と胃の接合部の癌（ステージIIB）の切除手術から１年経った。
おかげさまで、まずは元気に暮らしている。
昨年末に肝転移が判明（ステージIV)したけれど、いまのところは抗癌剤がよく効いており、癌も小さくなり、フルタイムで働きながら通院加療している。
抗癌剤投与後数日のうちは、怠さ、便秘と下痢、軽い立ち眩み、手先足先の軽いしびれ、特に凍ったものや冷たいものを触ると手が痺れがある。アイスクリームや冷たい飲み物も舌先が痺れてあまり味を感じない。
副作用は副作用だけれど、今のところ、どれも生活に大きな影響を与えるものではないのが有難い。
それから抗癌剤投与の日には、吐き気止めや蕁麻疹を抑えるためにデキサメタゾン （Dexamethasone ）を投与されるので、夜寝付きにくい。睡眠薬（ゾルピデム Zolpidem）5mgを処方してもらって服用している。これが副作用も（今のところは）なく良く効く。朝までグッスリだ。
思えば術前の外科医の説明は、容赦がなかった。
腹部と背中を両方切開する大掛かりな手術になる。所要6～8時間。過去5年に〇〇件の手術をして、死亡例も〇〇件ある。と。日本の最近の医療事情は分からないけれど、アメリカではぜんぶ説明する。
現実は直視する派なので、このほうが有難いけれど。
ああ、最悪術中または術後の予後が悪かったら死ぬんだな、という覚悟はうっすらとして、部屋の片づけをしたり、自分の死後にも必要になるであろう種類をわかりやすくまとめたりしたのを思い出す。
手術はうまくいって、2週間の入院ののちに退院した。
「胃瘻」と書いているけど、これは正しくは「腸瘻」だった。
食道と胃の接合部の癌だったので、手術で食道の下部と胃の上部を切除して繫げた影響だと思うのだけれど、術後しばらくは水を飲んでも「げっぷが詰まる」感じがして、不快極まりなかった。食事も腸瘻（J2）を1か月半後に抜いた後に、少量食べても詰まる感じがして、いちどに少ししか食べられなかった。
これらが最近かなり改善した。食事の量も、いちどに家人が食べるくらいは食べられるようになった。ふつうの一人前くらい。
体重は一時期術前から17％ほど減ったけれど、少し戻して、現在は68キロ前後。身長が180センチなので、BMIが21で、標準体重に落ち着いたというところ。元はもう少し体重があったけれど、これはこれで。
それから最近になってようやく、左半身を下側にして寝られるようになった。これまでは胸が詰まるような感じがして不快だったけれど、これがなくなった。これは地味だけど、睡眠の質もよくなって良いことだ。
抗癌剤は、現在隔週、計12回予定でFluorouracil+Leuconvorin+Oxaliplatinの投与の10回目が済んだところ。
投与の週の月曜日に血液検査と検診をして、抗癌剤投与に耐えうる健康状態かをチェックされる。水曜日の午前中に病院に行き、3時間ほど上記の抗癌剤を点滴されたあと、自宅持ち帰り用の携帯ポンプにOxaliplatin（だとおもう）を少しずつ、46時間投与にセットされて帰宅する。それを金曜の昼前くらいに外してもらいに病院に行く。
あと2回の投与の前後に、CTスキャンが入って、癌の状態などを診て、また今後の治療方針が決まることになるとおもう。
ともあれ、現時点では標準治療がうまくいっているということだろう。
今後、健康状態がどうなるかはわからないけれど、ほぼ普通に生活して、好きなものを食べて。抗癌剤の無い週には酒も飲んでいる。
前にも書いたけれど、なに、酒より抗癌剤のほうが毒に決まっている。そしてストイックに健康ばかりを気にして暮らして、何が楽しかろう。
日本人男性の平均的な「健康寿命」（立って歩けて自立して暮らせるということだろうか？）は、70.42歳だそう。あと3か月で53歳になるので、あと17年。癌になっていなかったとしてもそれほど長い年月ではないと思う。
癌になる前は、親父が79歳で他界しているので、自分もそれくらいまでは生きるんじゃないか、と、うすボンヤリ思っていたけれど、到底そこまでは長生きしないだろう。
いや。人生は分からんもので、この癌治療が著効して、癌治療の研究は日進月歩だし、うっかり生きながらえることもありうる。それはそれで悪くない人生だろうけれど。
なにせ60万円もする歯科インプラントをするくらいだから、これからも生きる気満々なのだ。知らんけど。
しかし老後の蓄えなんてあったかしら？
去年の入院手術前に、しばらくは食べられないだろうと思い、作って食べた「唐揚げ」。
今日は1周年のお祝いだから「揚げない唐揚げ」を作ってビールを飲む。
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