A good heart lady
職場に80歳は超えていると言われているヒスパニックの女性が居る。簡単な英語と、あとはスペイン語しか話さない。
昨日帰りがけに声をかけられ「Why you so skinny?」(意訳: 何でそんな痩せた?)と聞かれ、ううむ「cancer」はスペイン語でもcancerだったかなと思いつつ、やーcancerで食欲が無くてねぇ、と言ったら通じたらしく「No, joke!」(意訳: 悪い冗談は言うもんじゃないよー)と言われたので、いや本当(serious)なのよ、と返したら、Oh, no! と顔を曇らせてハグをしてきた。
この女性は、年齢もあり、動きが緩慢で仕事上のミスも多いのだが、彼女には彼女の事情があるのだろう、同僚に生暖かい目で見守られながら働いている。わたくしは担当部署が違うので、時々顔を見れば挨拶するくらいで、特に親しくしているわけではない。親しくしようにも、彼女の厳しい英語と私の貧しいスペイン語の知識では、突っ込んだ会話は難しい。
そんな彼女がここ2ヶ月弱で10キロ近く痩せてしまった私を見て気になったのだろう。ふくよかな彼女が、痩せる秘訣を聴きたかったのかも知れない。
しかし英語の医学用語はラテン語由来のものが多く、アメリカの医学生は外国語を学ぶようなもんだなぁと思うくらいで、翻ってスペイン語とかなり語彙が被るのではないかと気が付いた。とはいえ私はスペイン語に堪能というわけでも無く、ここ1年あまり癌の通院治療で医学の用語を勉強せざるを得なかったからなのだけれど。
彼女曰く、出身地のチリの親戚が膵臓癌で、手術不可能と言われ、何とかという(理解出来なかった)薬草の類いをレモンと毎朝飲んでたら寛解を見たとかそういう話しをしてくれた。少しで役に立つかも知れない情報だと思ってのことだろう。
ハグをしてくれて、「l pray for you.」(あなたのために祈っている)と言ってくれた。何ともgood heart な人ではないか。職場の見知った顔だというだけなのに。
心がぽっと温かくなった。ちょっと泣けた。言葉はあまり通じなくても、伝わるハートがある。ひとの幸せというものは、あんがい身近にあって、同情や祈りのようなもので構成されているような気がする。自分もそういう人でありたいと思った。
家人の誕生日。チーズケーキを焼いた。