断・胃食道亭日乗。旧「宇宙日記。宇宙にはぜんぶある。」

(消防署のほうから来ました。) 食道胃接合部癌→術後肝転移(Stage IV)のヲッさんの暮らし。

いぶりがっこ

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自家製いぶり漬け。

「いぶりがっこ」は、秋田県湯沢市のメーカーが1964年に登録した「いぶり漬け」の登録商標だという。そうだったのか。いぶり漬け。「がっこ」は秋田の方言で「漬け物」のことだな。わかる。響きが良い。がっこ。

いぶり漬けと言うのはアレだ。炉端の上で燻製にした野菜---主に大根を塩麹漬けにしたものだ。東北は東北でも、私の故郷宮城からは地の果てといってもよい秋田県の漬物は、大人になって東京に出るくらいまで知らなかった。今では仙台空港の土産物屋で売っており、おもわず毎回買ってしまうけれど、いぶりがっこ。

あ、いや秋田県湯沢市といえば、今をトキメク第99代内閣総理大臣の出身地だそうだけれど、それは偶然だ。大根を干して燻製にして漬物にするのに、1ヶ月かかっている。いや偶然偶然。

いぶり漬けは地味に美味い。

 

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大根を適当に干す。

うっかり買ったけど使わない大根は干すに限る。

大根という野菜はあれだ、タカジアスターゼだったか何だか知らんけど、消化酵素みたいなやつが豊富で、放っておくと独特の臭いと共にズブズブと自滅していく。 自滅していくその志やよし。としても扱う側にとっては難しい野菜だ。当地では安くないし。

いまちょっとググったら、その酵素はいま風にはアミラーゼと言うらしい。タカジアスターゼってのは、慢性的な胃炎に悩まされていた夏目漱石が彼の小説の中で書いてた、当時の消化剤由来の名前のようだ。吾輩は猫である。ニャ~

それはさておき。

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曲がらないくらいまでに干した大根を、家宝「けむらん亭」で燻製にする。東海岸の当地は、真夏を除けばわりと乾燥した日が多い。例えばミカンを置いておくと、カビずにカチカチに乾燥していくくらい。

 

dv6.hatenablog.com

 

大根のぬか漬けを燻製にする「なんちゃって」いぶりがっこ的な手法もアリだと思うけど、ここは事情が許すので、トラディショナル古来の手法をリスペクト尊重して、燻製干し大根を糠床に漬けるという手順で作った。ちょっと何言ってるのか分からないです。

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と。長い話を短くすると、これが燻製の干し大根を冷蔵の糠床に1週間漬け込んだ極私的「いぶりがっこ」である。いや「いぶり漬け」です。

と、いうわけで、エイやっと作ろうと思って作るものではないのだ。いぶり漬け。大根を無駄にしたくないから作っただけのことで。燻製の道具も糠床も偶々ウチにあった、と。そういう事ですよ第99代内閣総理大臣。知らんけど。

いぶり漬け。たぶん国会の土産物屋には売ってない。美味い。美味いなぁ。