断・胃食道亭日乗。旧「宇宙日記。宇宙にはぜんぶある。」

(消防署のほうから来ました。) 食道胃接合部癌→術後肝転移(Stage IV)のヲッさんの暮らし。

「志村犬。」

放射線&抗癌剤治療3週目に入る。

休日。

少し倦怠感がある。

金曜日に放射線を受けてから抗癌剤の点滴をうけ、土日は休み。

洗濯と散歩(12,000歩)と、加湿器をふたつ徹底的に掃除した。それから簡単な食事の用意(トマトソースパスタ)。

加湿器は、ひと冬使ったあとだったから、びっくりするくらい汚れていた。

こちらの水はカルシウム分が多くて、すぐに白い粉をふく。これは無害だけれど、問題はカビだ。カビは今どきのCOVID-19には良くないだろう。知らんけど。

昨夜の睡眠は23時から7時班まで、寝たり覚めたり。

最近はメラトニンを飲んで寝つくものの、夜中に目覚めることが多い。そしてまたうとうとと寝る。ストレスは感じない。

この睡眠の質の問題や、倦怠感や、声や喉の違和感など、ぜんぶ抗癌剤の副作用で説明がついてしまう。

熱は無いからCOVID-19ではないと思うけれど、ほぼ無症状の感染もありうるので、本当のところは検査しないとわからない。
朝食に納豆を食べ、コーヒーを飲み、やることがないのでネットを眺める。

 

志村けんについては、それぞれのひとがそれぞれの思いがあるだろ。

むかし住んでいた東京の住まいの近くに「志村」という表札の大きな家があり、ブルドックが敷地内に放し飼いにされていた。

通りすがりの子供たちは、みなそのブルドッグを「けん」と呼んでいた。「けん」は呼ばれると顔を向けるけれど、愛想をふりまくような犬でもなかった。吠えたてるような犬でもなかったから、わりかし境遇に不満はなかったのかもしれない。

「けん」が本当の名前かどうかも分からない。

「志村」といえば「けん」と呼ばれる。

「高橋」という名字のひとが、ある時期には「名人」というあだ名で呼ばれるのと同じような事だろう。

「志村犬。」

オチのあるような話ではない。

人を笑わせることを生業にしてきた人が亡くなった。

本人もまさかという思いだろう。

残念なことだ。

 

朝食後、倦怠感がある。

白米をうっかり食べてしまって、血糖値スパイクでもやらかしたかどうかは分からない。なんだか面倒になって血糖値を測らなかった。こんど測ろう。

血圧を測ると、110/70。

降圧剤を飲んでいるにしても低く出過ぎる。医者にはあまり下がるようなら少し中断して良いと言われているので、明日朝また低いようなら、その日の分はスキップしてみよう。

昼。インスタントラーメンを食べる。血圧が低いので、スープを多めに飲んでも罪悪感が薄い。それじゃダメだと思うけど。

しかし日本のインスタントラーメンは美味い。アメリカでは鶏や牛や豚の「エキス分」引っ掛かり、殆ど禁輸品だけれど。

午後、放射線を受けに行く。

病院の中に入るのがさらに厳しくなり、受付で熱はないか、COVID-19の感染者と接触はなかったか聞かれて、マスクを渡されて着用しないと中に入れてくれない。

中に入るとまた門番みたいなのが居て、同じ質問と予約の確認。

このあたりはロサンゼルスやニューヨークほどの大都市ではないけれど、あれらの都市の勢いでCOVID-19の感染者数が増加していけば、いづれ病床数のキャパは超えてしまうだろうし、医療従事者も簡単に代替が効くものではないから、誰一人感染させられないのだ。

病院内に強い緊張感がある。

放射線にあと10回、抗癌剤にあと2回、手術前に通わなければいけない。

いやはやとんでもない時期に医者通いをやっているものだ。

帰りにスーパーに寄る。

トランプ大統領が、4月いっぱいまでの"Social Distancing"をアナウンスしたばかりだ。

これは長期戦になる。

野菜を少しカートに入れて、店内をぐるりと回ると、月曜の午後だけあって、込み合っていない。品切れは小麦粉、トイレットペーパー、ペーパータオル、アルコール消毒液類。肉類はある。卵は品薄だが買える。

この傾向はしばらく続くだろう。

夕方、散歩に出る頃には、倦怠感もなくなる。

桜も木蓮もあらかた散り、水仙やヒヤシンスも萎びているのが多い。チューリップが主役になってきた。

夕食はジャガイモ電子レンジで加熱して、適当に整形してパン粉をつけて揚げてコロッケ。家人は美味いと言って食べていた。私は豚カツにした。アメリカの豚肉はさほど美味いものでもない。

夜、安富歩氏のYoutube?か何か。オハイオ州のアーミッシュのカウンティからの放送の2回目を観る。あそこの肉は美味いのだ。

寝る前、職場からメール。

引き続き最小限の人員で職場を回すという。

まぁ、閉められる仕事ではないし、想定内。仕事は減るが給与は減らないか、微減にとどまるだろう。

治療中の身には、医者通いがしやすく有難い。

このCOVID-19の影響で、病院がキャパオーバーになって閉まってしまわないか一瞬心配になったが、放射線や抗癌剤の治療はスケジュールがカッチリ組まれているので、中断は無いだろう。

むしろその後の手術がどうなるか。こればかりはわからない。やるべき事を全てやったら、あとは自分のコントロールが及ぶ事ではないので、心配しないことにする。

今年ももう1/4が終わりか。