断・胃食道亭日乗。旧「宇宙日記。宇宙にはぜんぶある。」

(消防署のほうから来ました。) 食道胃接合部癌→術後肝転移(Stage IV)のヲッさんの暮らし。

築地の漬物屋さんはオマケのタオルも素晴らしい

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遅ればせながら新年おめでとうございます。

更新が滞ってしまい、旧正月近くなってしまいましたけれども、立春も過ぎて太陽の角度もいい感じになって来たので、ボチボチやっていこうかと思います。

写真は、後述する漬け物屋さんで梅干しを求めたら頂いたタオル。なんて書いてあるんだろう。達筆過ぎて読めません…「御多織る」「御タオル」か!さすがグーグル先生ですねぇ。検索したらすぐに分かりました。凄いなぁ。

このタオル、これが程よく質の良いもので、身体を洗うのに使っているのですが、その漬け物屋さんの名前がプリントされてるもんだから、使うたびに思い出され、返す返すも良いお店、商いをされてるなぁとしみじみ思うのであります。こいつぁ春から縁起が良いやってな話です。

築地場外に(場内にも店舗があるらしいです)「Y」という漬け物屋さんがあります。私は2年ほど前の一時帰国の折に、ここで梅干しを求めて帰ったのですが、これから飛行機に長時間乗る、と言うと、店員のおばさまが、じゃぁ万が一にでも液漏れしないようにとビニール袋を2重にして輪ゴムで固く巻いてくれて(完璧でした。液漏れせずに帰宅しましたよ)、福神漬けをオマケに下さったり(美味しかったです)、何とも気持ちいい対応をして下さったのです。肝心の梅干しも、塩分15%の本物材料は梅と塩だけ、冷蔵庫に入れなくて保存大丈夫という昔ながらの梅干しで、確かに塩分も酸味も旨味も揃って美味しい梅干しでした。弁当にちょっとずつ入れて長いこと楽しみましたよ。

そうそう。「本物の」梅干しの実力は、鯖の味噌煮を誂えた時にも発揮されたのでした。私は鯖の味噌煮を炊くときに梅干しを少し、種なんかも取っておいたのを入れるのですが、以前はその辺で手に入る「梅漬け」やら梅干し風のものをまーこんなもんだろうくらいに思って使っていました。鯖が柔らかくなるし、酸味が少し入ると良い感じになりますね。好みもありましょうけれど。ところがこの「Y」で求めたストロング本気タイプの梅干しで炊いた鯖味噌は、梅干しを入れるとはこういうことか!と、まろやかな酸味と梅のほのかな風味が甘辛い味噌味と踊りだしており、過去最高の傑作となったのでありました。まこれは自分で米麹で仕込んだ味噌を使ったから、というこれぞザ・手前味噌という下駄も履いてるからかも知れませんが。梅干し凄いぞと。あそれと焼酎ですね、こちらでは入手が難しいので滅多に飲みませんが、これの「梅割り」なんかにも最高です。梅干しはストロング本気タイプのものに限りますね。

そんなわけで今次2年ぶりに巡って来た一時帰国のチャンスに、また築地の「Y」で梅干しを求めるチャンスを作ったのであります。1月の最初の週だったかな。正月明け間もない日でした。(場内某店で朝6時半過ぎに鮨を食べた後の、まだ朝早い時間でした)店に赴くと、若女将かな?という風情の女性に対応して頂いたのですが、私が手にした梅干しを「それはウチで扱っている梅干しでいちばん塩分が強い15%のものになりますが、いいですか?」と確認してくださり、私が、はいこれぞ私が求めているものです、今どきは減塩のものが主流で、塩分が高くて常温で保存出来るものがなかなか手に入らないもので…という話から、これからアメリカに帰ることや、前回は店員さん親切にして頂いたことなどを話すと、先日もハワイから日本人のお客さんが買いに来たと仰ってました。そりゃ行きますとも。そして築地場内の店舗は移転するけれど、場外のこのお店はそのまま残るので、またぜひ来てくださいと、写真のタオルを頂いたのでした。

そう言えば、思い出した。そもそもこの「Y」は、場外の別の店の店頭で、梅干しを見かけ吟味している時に、そこの若旦那と思しき男性が、あ、そういう(塩分が高い昔ながらのストロング本気タイプの梅干し)探しているのなら、あそこ行くと良いよ、と勧めてくれたお店だったのです。えっ?商売敵じゃありませんの?と思ったりもしたのですが、同業者どうし品揃えで客層の棲み分けのようなものをしているのか、このお店と「Y」の呼吸というか信頼関係といいますか、客は求めているものを買ってもらおうという築地の商売の心意気を感じたのでした。どちらのお店も真っ当な商いをされてるなぁと思いました。場内では2年前に来たときに、とある店で騙し売りみたいな嫌な思いもしたので尚更でした。

「昔ながらの」梅と塩(と赤紫蘇)のみを原料にして作っている、塩分濃度高め(15〜20%+)の梅干しは、今どきなかなか見かけないんですね。流通保存技術の発達や健康志向(減塩推奨)というのもあるんでしょうけど、家庭で作らなくなったからでしょうね。私の日本の実家でも、確か20年くらい前までお婆さんが作ったとか、ご近所か親戚からの頂き物で、ストロング本気タイプの梅干しがあったと思います。塩っぱくて酸っぱいの。子供の頃のオニギリや弁当にはこれが入っていたものです。コンビニがわらわら出て来て、パリパリ海苔のオニギリが流行り始める前までの話です。

梅干しは、まー極私的には材料さえ揃えば自作したいもののひとつではあるのですが、北米では漬け物に出来そうな梅がどうも見かけないんですよね。アジア系のスーパーで、短い期間にほんの少量見かけるくらいで。

それはさておき、先述の「築地の商売の心意気」というところに話を少し戻すのですが。「御年始」の熨斗のかかったタオルですね。程よい質の。これは想像ですが、担保された質を見るに、もうずっとお付き合いしている築地の問屋さんで仕入れてるんじゃないかな、と、ふと思ったのでした。合点が行く話じゃないですか。

商店街なんかで貰う庶民派のタオルとはちょっと違う、少し厚みがあるなぁと、貰った時に気づいてはいたんですけどね。あこれは良いものなんじゃないかと。なのでそんなに直ぐに使うつもりじゃなかったのですが。築地の後、同行の友人と「●●●の湯」というスーパー銭湯みたいなところに行きまして、着替えは持って来ていたものの、タオルは貸しタオルを利用しようと思ってて、持ってきて無かったんですね。けれども丁度タオルを貰ってしまい、これぞ渡りに船、と使うことにしたのでした。生地といい厚みといい塩梅の良いタオルだったのでアメリカまで持ち帰ってはや1ヶ月。大事に使わせて頂いております。また必ずや寄らせてもらいますよ。「Y」さん。